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職業運び屋は副業で殺し屋。赤髪エルフ娘のお仕事日記。ついでに何重もスパイやってます!
職業運び屋は副業で殺し屋。赤髪エルフ娘のお仕事日記。ついでに何重もスパイやってます!
ผู้แต่ง: 涼風紫音

Case.00 - Prologue - 世の中見た目が十割

ผู้เขียน: 涼風紫音
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-10-16 20:56:33

 だいたい人間という連中は、エルフには甘い。私のように誰が見ても、エルフの中でも飛び抜けて美しいとなれば、チョロい。それが世界の真理。世界は私を中心に回っているのだ。えっへん。

 この大陸ではしょっちゅう戦争が起きる。あっちの川の水が欲しい、そっちの鉱山を寄越せ、そこの農地は豊穣だから手に入れたい。理由がなんであれ、まあ戦争というのは起きるのだ。人間というのはそういう生き物。そこに私の美貌は抜群に効く。

 せめて私ほどの美貌がそれぞれの国にいれば、あっという間に口説いて止めさせることができるのに、残念ながら私のような美人はそうそういない。まさに絶世の美女とは私のこと。魔法はあまり得意ではないけど、あまりある美しさはすべてを解決するのだ。

 そんなわけで、人間の国を渡り歩くのにたいていは苦労しない。誰もが美しさに息を呑み、女神と讃え、振り向いて目が離せなくなるのだから、国境を超えるなど造作もない。

 燃えるように鮮烈な腰まで伸びる赤い髪、ルビーでさえ叶わないちょっと憂いを帯びた(ように見える)瞳、ついでに泣きボクロもポイント。

 背は高く出るところは出て引っ込むところは引っ込むメリハリ抜群の体からすらりと伸びた傷一つない手足。つまり、私はどこをどう見たって美人さんなのだ。自画自賛しても神は怒らないどころか褒め称えてくれるに違いない。

     ◇◆◇

 今日もつい半刻前に谷あいの哨戒塔の下を堂々と闊歩して国境を越えたばかりだ。イチコロとはまさにこのこと。誰何する人間などいない。やっぱり世の中見た目が九割、いや、十割。うーん、美貌も過ぎると罪よね。

 今回の荷物は密書。まあ運び屋を使うなんてだいたい疚しい連中ばかりなのだから、料金はもちろんはずんでもらった。ちょっと上目遣いに見つめてやったら、依頼主はほいほい倍額出した。チョロい。チョロすぎるぞ人間。

 空は晴れ渡りそよ風が気持ちいい。陽光は私の赤い髪をいっそう際立たせる自然の恵み。すばらしい旅日和。草原はこうでなくっちゃ。

 私は運び屋。この密書に何が書かれているのかは知らないけど、どうせろくでもない内容なのだろう。また戦争が始まるのかと思うと、稼ぎ時の予感で胸が高鳴る。

     ◇◆◇

 道中立ち寄る予定の宿で、実はもうひとつ仕事の予定がある。

 表向きの仕事は運び屋。もう一つは殺し屋。魅力溢れまくりな美貌に油断しまくっている人間をちょいと昇天させるのは簡単。私にうってつけの仕事なのだ。暗殺ギルドのアルバイトもちょっとした小銭稼ぎ。

 この先の宿で歌うへっぽこ吟遊詩人を「二度と歌えないように」するのが依頼だ。まあ歌えなければよいのだから何も命まで取らないでもと思ったけれど、とっても下手くそで聞く者の精神が狂うほどだと聞けば、それも仕方ないなと思う。

 よくもまあそんな声で歌うものだが、もしかしたら見た目くらいはいい男なのかもしれない。

     ◇◆◇

 そんなことを考えているうちに、もう宿が見えてくる。緩やかな斜面の丘の上にぽつんと建つ旅人御用達の安宿。まあへっぽこ吟遊詩人が歌えるのは安宿だからかもしれないと思うと、そんな安宿で下手な歌まで聞かされる財布が軽い客には少しだけ道場する。

 お金が無いと宿も選べない。だから私はもっともっと稼ぎたいのだ。それだけじゃないけど。

「ハーイ(はぁと)」

 必殺のウィンクで宿にイン。これで落ちない人間はまずいない。というかほぼ落ちる。一目惚れするのも無理はない。それもこれも私が美しすぎるからだし、そう生まれてきたのは私の責任じゃない。さあ貧乏な客たちよ、惚れて溺れてなんでも私の言うことを聞きなさい……っ?

「なんだエルフか。お前みたいなのが来る場所じゃないだろ」

 やたらといかつい声の……ドワーフの男。髭もじゃで背は私の半分ほど。その手には棍棒代わりに使ったんじゃないかという具合に見事に半壊した竪琴。

 謀られた。ドワーフはエルフの美貌を理解しない。そう、エルフの天敵。美しすぎる運び屋の私を持ってしても、これだけは無理だ。おまけにドワーフは魔法に耐性があるときた。魅了も使えない。

 とはいえ依頼は依頼。仕事は仕事。残念ながらこの吟遊詩人(たぶん自称)にはお亡くなりになって頂かないと。

     ◇◆◇

 そこからはなんとか宿の外に連れ出した後……くんずほぐれつ、大格闘。

 まったくエレガントさのない戦いは嫌いだ。おかげで服もぐしゃぐしゃでところどころ破れている。あのクソボケドワーフの馬鹿力のせいだ。

 ほんとうにひどい目にあった。暗殺ギルドの連中は吟遊詩人の種族を敢えて伏せたに違いない。いまごろきっと笑い転げているのだろう。腹立たしい。

 そんな一仕事を挟んで無事密書はとある城砦へしっかりお届け。小さな居館にそれほど高くもない城壁。反乱でもするのかしら? ぶっちゃけ負けそう。弱そう。とはいえこの城からもしっかり稼がなきゃ。少ないなら少ないなりに。

 だからとある国、この小さな国のお隣の国で進んでいる秘密の話をうっかり口を滑らせてしまった私は、領主の世間知らずな跡継ぎに大変感謝され、そう大いに感謝され、密書の中身を葡萄酒を煽りながら意気軒高に話してくれた。まあ私を酒の肴にするのだから、舞い上がってべらべら喋るのもしょうがない。すべては生まれ持ったこの美しさゆえのこと。私に罪はない。

     ◇◆◇

 さあ、今度はその話をどこに持っていくのが一番高く売れるかな?

 私は運び屋。アルバイトの殺し屋。裏稼業はあちこちを雇い主にした二重三重のスパイ。噂話や弱味ごとはいくらでも稼ぎの種になる。この類い稀な比類なき容姿と、多少は使える魔法で明日もまた稼ぐための旅に出る。

◆◇ 新緑の月、十日の日記 ◇◆

 今日はこの世界で一番私の美しさを理解しない黒髭へっぽこドワーフ詩人と大変不本意なことに殴り合いました。依頼内容はちゃんと確認しよう。反省反省。この世界は私を中心に回っているべきなのだ。あーあ、疲れた。これだからドワーフは嫌いだ。

 あの宿〇×の酒はマズい。貧乏領主の葡萄酒の方がまだマシ。二度と行かないリストに追加。

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